2006年12月23日

基礎練習1000時間

専門的画学生の人はわかりきったことなので
この章をとばしてもかまいません。

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百キロマラソンを行なう場合、バラバラの自転車があり、
使ってよいならば、組み立てて使うのが賢い。その一時間ほどは1ミリも
前進しないが結局速いからだ。この例えではその自転車は他のマラソンでも
使ってよく、もう組み立てる手間は要らない。
それが基礎1000時間である。職業的に行なえば半年。
クリアしたあとで優れた絵柄を獲得するのは数十時間。
しかもそれは楽しい期間なので、このコースをクリアすれば絵的に確実に成功する。
模倣崩れ系はどんなにがんばっても二足走行の速さである。
「先輩を模倣せよ」が正しかったのは40年ぐらい前で、その先輩とは
写実に基づいた簡略な絵柄(主にディズニー→手塚系)のことだった。
現代では「模倣せよ」は正しくない。
崩れ系で成り立つのは劇タイプであり、それをめざすのは無理だ。
現在すでに絵が非常に得意でけっこう描ける人は基礎練習1000時間無しでも、
作画のポイントを押さえて臨機に実写から描き起こせば成功するかもしれない。
しかしその場合も模倣ではなくオリジナルに行なう。

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基礎は写真のように本物そっくりに描くことで、これは脳内視力である。
枯れ葉の中のキノコを見つけるのが上手い者は眼球の光学的機能とは別に
認識力が優れている。理論的でない神経を進化させて脳の中に
目玉(描画ソフト)を作る。理論抜きなので、物の「すきま」が物と同格になる。

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跳躍や踊りには歩けることが条件で、それ以前に立てることが必要であり順に
クリアする。絵を描けない者は筋肉が衰えて立てない状態である。
踊る(漫画を描く)には普通に歩ける(写真のようにそっくりに描く)まで
リハビリ1000時間。この数値は絵の常識で、効果は間違いない。
脳神経も筋肉と同じで鍛えれば成長する。若い男なら誰でもボディビルの教程を
正しく行なえばムキムキマンになるのと同じだ。
10時間に達した時の絵と、最初の絵を比較すれば
1000時間で足りることを実感できるだろう。

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枚数ではなく時間に価値がある。2時間を5枚でも5時間を2枚でも同じこと。
急いで描いてはいけないがのんびり描いてもいけない。目的は脳を鍛えることなのだ。
泳ぐ時に手足の動きを理論的に考えると溺れる。
同様に、絵を描くときは非論理的で夢中の「描画モード」から外れてはならない。
判別できない人は最初の2時間分(絵として描きあがってなくてもよい)を
スキャンか撮影して私に送れば、「泳いでいる状態」かを折り返し知らせます。

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輪郭線を描く東洋式と、明暗を精密にとらえて面・立体を表現する西洋式があるが、
漫画に関しては前者だけでよい。後者はポイントを別に教える。

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時間を計り、日付とともに絵に書き添える。秒まで計って分単位に切り捨て。
途中で鉛筆を削る場合は時間に算入してよい。描画モードが継続しているからだ。
疲れたら中断してよいが、また始めること。『始めつづけること』が成功のコツである。 

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B5のコピー紙にH〜Bの鉛筆。パソコンは発光体で目が疲れるので、
画像はプリントする。傾斜板があったほうが良い。
小さなパネル(画材売り場にある)でも良いし
本棚の引き戸を一枚外しても良い。一辺に雑誌などを敷いて傾ける。
鉛筆は図のように持ち、
te.JPG
手首はほとんど固定して腕を肩から動かす。
手の構造による形の描きやすさの差別をなくすためだ。

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絵を真似ずにかならず実物あるいは実写を描き写す。
目的は『描く能力を得る』であり、『或るモデルを描けるようになる』はオマケなので、
効果的なモデルを選ぶ。
まず草が良い。いろんな雑草を掘ってきて空き容器に植える。
ひとつの鉢で角度を変えて10枚ぐらい描ける。最初の100時間は草ばかりでもよい。
初期モデルは他に干魚やスルメ、カボチャや白菜やキャベツの断面、貝殻、雲、
丸めたバナナの皮、節足動物や爬虫類が良い。
人物の写真は意味を抜くためさかさまにして描く。
100時間を越えたらカエルや哺乳類や人間も描く。
最後の100時間を使って人間の体と顔をマスターしよう。
あくまでも写実であって、アレンジしてはならない。

パソコン画面など発光体は目が疲れるので、
プリントして使う。

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基礎を終えたなら、漫画家になれなくても損はしない。
常人と大きく違い、文字の読み書きの可否ほど認識力の差があるので
視生活が楽しい。草むらは常人には草の塊というデジタルな文字的認識しか無いが、
画家は個々の草の形を別々に同時に見ている。
もちろん本格的な絵を描けるので周囲から尊敬され、なにかと得である。
絵の基礎無しの漫画は公式に評価されなければ周囲の評価はゼロで、
劇タイプレベルの絵を描いて「イラストです」と言っても認められない。
デビューできなければ長年の苦労が水の泡。

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リハビリは最も苦しい時期である。いちばん大きな勝負時が最初にあるわけだ。
1ミリも進まないが自転車を組み立てている。
結局これが一番楽である。

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何分の一終えたか考えたくなるものだが、
★割り算の使用法を間違えてはいけない★
10個まんじゅうを食えるか考える場合、
『今5個でほぼ満腹だから無理だ』は正しい。
しかし10食に分けてよいなら一個で満腹でも達成できる。
大事なのはペースを保つことだ。


posted by スナノ at 09:32| 絵の基礎 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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